えびす歯科副院長の歯内療法のブログ

歯内療法を専門にしている歯医者です

右上7の意図的再植を行なったケース①

40歳男性、右側頬部、歯肉の腫れを主訴に3年前に来院されました。

頓服を2時間おきに服用し、氷冷されているということでした。

 

初診時、診査の結果はこちら

右上7に強く症状を認めていました。

 

レントゲンがこちら。

7番は、補綴物の適合不良、根管充填は不十分、根尖には透過像を認めます。

5番6番も根管充填については同じような状態が認められます。

患者さんに伺ったところ、根管治療時にラバーダムは装着されなかったという

ことでした。

 

根尖の状態を詳しく見るためにCT撮影も行いました。

 

根尖周囲に炎症性吸収が起こり、上顎洞底部の骨吸収、上顎洞の粘膜肥厚も見られ

ます。

 

歯内療法学的診断名としては

 Pulpal Dx : Previously treated
 Periapical Dx : Symptomatic apical periodontitis

 

この日は抗生剤を処方し4日後再診時には腫れは引いてきたとのことでしたが

右上7の打診痛(+)、圧痛(+)。

 

まずは再根管治療を行うことに。

再根管治療における成功率( 症状や透過像が改善するか )は歯内療法専門医が行なった

場合でも概ね60~70%とされており、30~40%は改善が見込めない可能性があります。

 

そこで治らなかった場合の次の手段として外科的歯内療法を検討する必要があります。

外科的歯内療法は2種類の方法があり、1つは歯根端切除術、もう一つは意図的再植術

と呼ばれるものです。

 

どちらを選択するかはケースバイケースですが、一般的に切削器具が届く限界等の理由

から上下顎7番では意図的再植術の選択が一般的とされています。

 

そこで症状が継続するようであれば、意図的再植も検討していくということで治療を

開始しました。

 

未処置のMB2根がありましたが、形成していくとMB1と合流。

 

根充後のレントゲン写真がこちらです。

治療前と比較して咬合痛や圧痛が軽減したものの症状は続いている状態。

また右上6についても、補綴物新製行うため、再根管治療を行いました。

その後3ヶ月ほど経過観察を行うも症状を繰り返していましたが、意図的再植を行う

ことについて、" 抜歯する "ということにどうしても抵抗がある、ということでそ

のまま経過観察を続けていました。

1年後撮影したCTがこちらです。

初診時と比較すると透過像は縮小し、上顎洞内の粘膜肥厚と思われる不透過像も

改善しているように見えますが、依然数ヶ月くらいの間隔で強く急性症状を認めており

再度相談の上、意図的再植を行っていくことになりました。

→次回に続く